菅原 孝支 - Koshi Sugawara
俺は確かにまだ仁科のこと分かってないかもしれない。でも、今から知ることなら出来るし、知りたいなって思ってるよ。それじゃ、だめかな。〔 1st「夕闇に消える恋の終わり」 * No.70 〕
なんでダメ?理由教えてくんないと納得出来ない。ちゃんと俺のこと説得して。〔 1st「夕闇に消える恋の終わり」 * No.88 〕
すげえな、ちょっと遅く出るだけでこんなにも景色ちげーんだもんな。〔 2nd「朝焼けと嘯くくちびる」 * No.41 〕
…そんなこと言ってると、俺、つけあがるよ?〔 2nd「朝焼けと嘯くくちびる」 * No.62 〕
さっきはまあ、なんだ、…羨ましいなって思っただけ。〔 3rd「聖なる夜の解けない魔法」 * No.54 〕
じゃあ来年は俺とクリスマスし…、…男じゃダメか。〔 3rd「聖なる夜の解けない魔法」 * No.77(タイトルより) 〕
そーそ、こんなに可愛いのに何もないわけないじゃん。つーか明るいっつって冬なめてっとすぐ暗くなるべ。ってわけだから、俺にボディーガードさせてよ。〔 3rd「聖なる夜の解けない魔法」 * No.77 〕
…困らないなんてやつなんて居ないよ。そういうことに慣れんなよ。〔 4th「僕と君と、何も知らないあの子の声」 * No.76 〕
…困るよ。だって俺よりずっと、仁科のこと分かってる男が目の前に現れて、そいつのことの方が好きなのかなって思ってたから。〔 Last「"いつか"の答え合わせをしよう」 * No.64 〕
仁科の分も、俺が素直になるってのも手だと思わない?〔 Last「"いつか"の答え合わせをしよう」 * No.77(タイトルより) 〕
早く春が来てほしいって思うけど、…今年はあんま思わねえな。(その言葉と同時に、視界に広がった校門が今日の幕開けを告げる。)〔 2nd「朝焼けと嘯くくちびる」 * No.62 〕
…うん。そうかも。(あっさりと肯定した侘しさが、彼女の声色で埋まっていく。聞いたことのない素の声が曇っていた心を潤わせ浸透していくのを確かに感じては、寂しさなんて一瞬にして温かさに変えられては穏やかな感情を行き届かせる。)〔 3rd「聖なる夜の解けない魔法」 * No.77 〕
(プリントに伸ばされた手に触れることが叶ったなら、こっちを向いてと言いたげに包み込むように握りしめる。)〔 4th「僕と君と、何も知らないあの子の声」 * No.60 〕
話したり帰ったりしなきゃよかったって、本気で思ってる?……本気で思ったの、仁科。(乞う様に、願う様に紡ぐ声は悲しいかな今にも震えてしまいそうだ。そもそも多くを会話したことだってないのだから、そう思っていても無理はない。どれをとっても偶然が引き起こした逢瀬ばかりで、もしかすると彼女は無理矢理自身に付き合ってくれていたのかもしれない。そう思えば思うほど、一瞬でも仲良くなれたと思い上がっていたことが、あんまりにも恥ずかしくて情けなくて泣けてくる。それでも、と彼女がこちらを見ようとしなくとも見つめ続けることは決して止めやしない。)でもごめん、俺はそんな風に思えない。結果的にこうやって仁科にも迷惑かけちまったのは事実だけど、俺は仁科と話せたこと も帰れたことも、…良かったなって思ってるよ。(それは友情だとか恋愛だとかそんなまどろっこしい理由を全て取っ払った、菅原孝支という一人の少年の誠実であまりにも純朴過ぎる言葉だった。きっと彼女が思っているよりもずっとずっと、あの秋の終わりから留まり始めた存在がいつの間にか大きくなっていた。迸る熱、溢れる胸懐、嘘が言えない眼に映る少女は今、何を想っているのだろう。) 〔 4th「僕と君と、何も知らないあの子の声」 * No.60 〕
俺はなかったことにしたくない。でも仁科がなかったことにしたいって言うなら、…俺にも考えがあるけど。(はっきりと意思表示する意志は固い。彼女がどうあれどあの日告げてくれた想いを帳消しになんて出来やしないことなど最初から分かっていたことだが、それでも彼女の意志を尊重する優しさを、本当は提供したかった。今まで見せていた優しさをどうにも見せることが出来なさそうだから、譲った様にも見せる言葉に彼女はどう反応するだろう。)〔 Last「"いつか"の答え合わせをしよう」 * No.41 〕
放っとかない。(たった一言、ただそれだけ。あの日とは違う聢と射抜いた自分自身の意志が、彼女にも伝われば良い。)好きな女の子が目の前でこんなに苦しんでるのに、放っておけるほど馬鹿な男じゃないべ。俺。(あまりにも唐突な想いの吐露は、彼女に驚きばかりを与えてしまうことになるかもしれない。それでも良かった。そうやって驚いて、顔を上げれば良い。自分でも驚くほどにするりと落とされた感情が、一度零れてしまえば止めどなく溢れ出し、なりふり構っていられないほどに余裕がなくなってしまうように、今、ゆっくり早く、熱を溶かす。)嘘でも揶揄でもなんでもない。好きだよ。…もうずっと、恥ずかしいくらいには仁科のことばっか考えてる。〔 Last「"いつか"の答え合わせをしよう」 * No.64 〕
(気付かない内に認めた恋情が彼女と同じくらいに図れるかと言われたらまだ分からないけれど、掴まれた裾や熱を孕んだ頬、頑なに向けられなかった真っ直ぐな視線が逸らされようとしないこの喜びを言い表せるとするならば、それは"恋"だと断言出来よう。裾を掴む手を取り確りと握りしめたなら、ふ、と無意識に零れる呼気を含んだ笑みに乗せて彼女の額にふわりと額を預けた。)〔 Last「"いつか"の答え合わせをしよう」 * No.77 〕
(裾を掴む手を取り確りと握りしめたなら、ふ、と無意識に零れる呼気を含んだ笑みに乗せて彼女の額にふわりと額を預けた。)好きだよ、仁科。(彼女が望むのなら何度だって、望まれなくとも幾らだって。惜しげもなく零される好きがどれほど小さいものであっても、彼女に届いてくれたのならばそれでいい。柔らかに和らいだ目尻に緩やかな笑みを添えて、覗き込むように、逃がさないように彼女を見つめたまま、今度はこちらが糾す時。)仁科は?俺のことどう思ってるの。(一度聞いたその答えを意地悪く問い、隠す気もなく笑みを深める。)〔 Last「"いつか"の答え合わせをしよう」 * No.77 〕