"はじまり"はいつだって突然だ
それは本当に偶然だった。
たまたま教室に忘れ物をして、いつもなら明日でもいいかと気が向かない筈だったのに、
どうしてかその日だけは気持ちが向いて部活終わりに教室へととんぼ返り。
時間も随分と遅いし、部活が終わる頃には廊下も教室も、生徒なんて人っ子一人居やしない。
だから、調子乗って鼻唄なんて歌って、いつもの調子で教室の扉を開いた視線の先には、一人の少女の影。
横顔から把握するそいつは普段あまり話さないクラスメイトで、どうしたのだろうと声をかければ―――
その横顔は、 あろうことか泣いていた。

